2025年4月おたいら音楽集|春の記憶を抱いて歩く7曲(後編)

毎月心に残ったおすすめ曲をジャンル問わず紹介する「おたいら音楽集」のアイキャッチ画像です 音楽

春の終わりが近づく4月後半。桜の花びらが舞い散り、街の色が少しずつ初夏へと移り変わるこの季節は、過ぎ去った時間を振り返るのにぴったりな瞬間でもあります。新生活が始まり、環境が変わる中で、ふと立ち止まって過去を思い出すこともあるでしょう。

今回の「おたいら音楽集」後編では、そんな春の記憶を抱いて歩くような、心に残る7曲を選びました。静けさの中にある強さ、葛藤と希望、そして人生の節目に寄り添うような楽曲を中心に紹介します。ジャンルはJ-POP、ロック、ボカロ、カバー、インディーズと多彩ですが、どの曲も「今の自分」にそっと寄り添ってくれるような力を持っています。

アンビバレント|Uru

Uruの「アンビバレント」は、2025年にリリースされたバラードで、静かなピアノの旋律と深く響く歌声が印象的な一曲。タイトルの“アンビバレント”は「相反する感情が同時に存在すること」を意味し、まさにこの曲は、愛と痛み、希望と諦めが交錯するような世界を描いています。

「好きなのに離れたい」「優しさが苦しい」といった感情が、Uruの繊細な歌声によって丁寧に紡がれていきます。サウンドはシンプルながらも奥行きがあり、ピアノとストリングスが感情の波を静かに支えてくれます。Uruの歌唱は、言葉にできない感情をそのまま音に乗せているようで、聴く者の心に深く染み渡ります。

私はこの曲を聴いて、「感情に正解なんてない」と思えるようになりました。SNSでは「泣ける」「夜に聴くと沁みる」「自分の気持ちを代弁してくれてる」といった声が多く、Uruの表現力の高さが改めて評価されています。春の終わりに、揺れる心をそっと受け止めてくれるような一曲です。


若者のすべて(カバー)|suis(ヨルシカ)

フジファブリックの名曲「若者のすべて」を、ヨルシカのsuisがカバーしたこの楽曲は、原曲の持つ切なさと青春の儚さを、suisの透明感ある歌声で新たに描き出しています。夏の終わりをテーマにした原曲ですが、春の終わりにもぴったりな感情が詰まっており、季節の境目に聴きたくなる一曲です。

「最後の花火に今年もなったな」「何も言えずに海を見ていた」という歌詞が、過ぎ去った時間と、言えなかった気持ちをそっと思い出させてくれます。suisの歌声は、まるで風のように優しく、でも確かに心に触れてくる力があります。アレンジは原曲の雰囲気を大切にしながらも、より繊細で静かな印象に仕上がっており、suisの世界観がしっかりと反映されています。

私はこの曲を聴いて、「過去の自分に優しくなれる気がした」と感じました。SNSでは「suisの声で泣いた」「原曲とは違う切なさがある」「何度も聴いてしまう」といった感想が多く、カバーとしての完成度も非常に高い一曲です。

紹介するMVはドラマ仕立てのものです。今年の夏もこんなシーンがどこかであるのでしょうね。


Sleep Walking Orchestra|BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKENの「Sleep Walking Orchestra」は、2023年にリリースされたアルバム『Ray』に収録された楽曲で、夢と現実の狭間を描いたような幻想的な作品です。タイトルの“Sleep Walking Orchestra”は「夢遊病のオーケストラ」という意味で、まるで眠りながら演奏しているような不思議な感覚を呼び起こします。

歌詞には「目を閉じて歩く僕らは どこへ向かっているのか」という問いかけがあり、日常の中で迷いながらも進んでいく姿が描かれています。サウンドはBUMPらしいギターのアルペジオと、浮遊感のあるシンセが重なり、聴いているとまるで夢の中を漂っているような気分になります。藤原基央の歌声は、優しさと強さを併せ持ち、聴く者の心にまっすぐ届きます。

私はこの曲を聴いて、「迷っていても、歩いていることに意味がある」と思えるようになりました。SNSでは「BUMPらしい哲学」「音が美しい」「夜に聴くと心が落ち着く」といった声が多く、静かながらも力強い一曲です。

舞台に立って|YOASOBI

YOASOBIの「舞台に立って」は、小説『背中』を原作とした“物語音楽”のスタイルを貫く一曲。舞台に立つことの緊張、期待、そして覚悟を描いた歌詞が、聴く者の心に深く刺さります。2024年にリリースされ、卒業や新生活の節目に聴かれることが多い楽曲です。NHKの2024年のスポーツ中継および2024年パリオリンピック・パラリンピックのテーマソングにもなっています。

小説をもとに楽曲を作成するのがYOASOBIスタイル。今回は、タイザン5・桐島由紀・春野昼下の3人が制作したスポーツをテーマにした読切漫画3作品(『はなれたふたり』『パラレルレーン』『終わらないデュース』)をもとに、江坂純が執筆した小説3篇を原作としています。

「震える足で一歩踏み出す」「誰かのために歌いたい」というフレーズが、表現者としての葛藤と希望をリアルに描いています。Ayaseの繊細なトラックと、ikuraの力強くも優しい歌声が融合し、まるで舞台の上に立っているような臨場感を生み出しています。サビでは一気に感情が高まり、聴いている側も「自分も何かを始めたい」と思わせてくれる力があります。

私はこの曲を聴いて、「誰かの前に立つことは怖いけれど、それでも伝えたいことがある」と感じました。SNSでは「自分の背中を押してくれる曲」「卒業式で流した」「涙が止まらない」といった声が多く、YOASOBIの新たな代表曲として支持されています。


史上最強の応援歌|なもなき

なもなきの「史上最強の応援歌」は、タイトル通り、聴く人の背中を全力で押してくれるエネルギッシュな楽曲。インディーズながら、TikTokやYouTubeで話題となり、若者を中心に支持を集めています。2024年の春にリリースされ、受験生や部活生の間で“応援ソングの定番”として広まりました。

「君ならできる」「諦めるな」というメッセージが、ストレートに心に響きます。ギターの疾走感、ドラムの力強さ、そしてボーカルの熱量が一体となり、聴いているだけで元気が湧いてくるような構成です。ライブでは観客が拳を突き上げて一体となる瞬間があり、その熱気がこの曲の魅力をさらに引き立てています。

私はこの曲を聴いて、「誰かに応援されることの力強さ」を改めて感じました。SNSでは「受験前に聴いてる」「部活のテーマ曲にした」「泣けるほど励まされる」といった声が多く、なもなきの代表曲として語られています。


はじまりの未来|40mP × sasakure.‌UK

「はじまりの未来」は、ボカロ界の人気クリエイター40mPとsasakure.‌UKによる共作で、2024年12月にリリースされた楽曲です。劇場版『プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』の主題歌として制作され、初音ミクの透明感ある歌声が、未来への希望と不安を繊細に描き出しています。

歌詞には「走り出す未来のすぐそばで」「音楽は、もう止まらない」といったフレーズが登場し、日常の中にある小さな勇気や、音楽が寄り添ってくれる感覚が丁寧に表現されています。40mPの優しいメロディと、sasakure.‌UKの独特な音響世界が融合し、聴くたびに新しい発見があるような奥深さを感じます。

私はこの曲を聴いて、「音楽って、こんなにも自分の気持ちに寄り添ってくれるんだ」と思いました。特に、通学路や踏切といった日常の風景が歌詞に登場することで、自分の過去や未来を自然と重ねてしまいます。SNSでも「涙が止まらなかった」「ミクの声が心に染みる」「映画と一緒に聴いて感動した」といった感想が多く、作品の世界観に共感する声が広がっています。

卒業や新生活、転職など、人生の節目にそっと寄り添ってくれる一曲。「はじまりの未来」は、音楽が持つ力を改めて感じさせてくれる、そんな作品です。

ニコニコ動画での投稿から人気になった初音ミク。私もニコ動開始の2日後に会員になってから何百時間の動画を観たことでしょうか。もちろん初音ミクの動画も4桁にはなっていると思います。ボカロの存在もとっくに認知され、しかも今でもこうして映画になるほど人々に楽しまれている、この現実、こんな未来になって本当に良かったと思っています。


ジターバグ|ELLEGARDEN

ELLEGARDENの「ジターバグ」は、2005年にリリースされたアルバム『RIOT ON THE GRILL』に収録された楽曲で、疾走感とエモーショナルな歌詞が魅力のパンクロックナンバー。英語詞を中心に構成されており、国境を越えて支持されている一曲です。

「I wanna be with you」「I wanna hold you tight」というフレーズが、シンプルながらも強い感情を伝えてきます。細美武士のボーカルは、叫びにも似た熱量を持ち、ライブでは観客が一斉にジャンプする定番曲として知られています。ギターのリフは鋭く、ドラムは疾走感を加速させ、ベースは地を這うように支える。3分半の中に、青春の衝動が凝縮されています。

私はこの曲を聴いて、「感情を爆発させることも、時には必要だ」と感じました。SNSでは「青春の象徴」「ライブで泣いた」「ELLEGARDENといえばこの曲」という声が多く、今もなお色褪せない名曲です。

初めてこの曲を知ったのは漫画「ふつうの軽音部」でした。主人公が軽音部に入り、途中でこのジターバグを演奏し歌います。歌詞が今までのストーリーに重なる部分もあり、読後すぐにこの曲を探して聴きました。良い曲は時代や時間を超え、また世代や今回の漫画のようにメディアも超えて聴かれ続けていくのだな、と思いました。また忘れられない曲ができました。興味のある方は漫画「ふつうの軽音部」も読んでみてください。ふつうの女子高生の笑いあり涙あり感動ありの軽音部生活のお話しでおすすめです。 → ふつうの軽音部

📝 まとめ

今回紹介した7曲は、春の終わりにふさわしい、記憶と感情の揺らぎを丁寧に描いた作品ばかりでした。Uruの「アンビバレント」は、相反する感情に揺れる心を静かに描き、suisによる「若者のすべて」は、青春の儚さを新たな声で再解釈してくれました。

BUMP OF CHICKENの「Sleep Walking Orchestra」は、夢と現実の狭間で迷いながらも進む姿を描き、YOASOBIの「舞台に立って」は、表現者としての覚悟と希望を力強く伝えてくれます。なもなきの「史上最強の応援歌」は、まっすぐな言葉で背中を押してくれるような、熱量のある応援ソングです。 40mP × sasakure.‌UKの「はじまりの未来」は、静かな決意と希望を描いた“内なる応援歌”で、音楽がそっと背中を押してくれるような一曲です。ELLEGARDENの「ジターバグ」は、青春の爆発力を今もなお響かせてくれる名曲でした。

音楽は、過去を振り返りながらも未来へと歩き出す力をくれるもの。春の終わりに、ふと立ち止まって聴いてみてください。きっと、あなたの心にふわりと届く一曲が見つかるはずです。


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