2025年5月おたいら音楽集|風に揺れる青春と再生のメロディ7曲(前編)

毎月心に残ったおすすめ曲をジャンル問わず紹介する「おたいら音楽集」のアイキャッチ画像です 音楽

5月の風は、どこか懐かしくて、少し切ない。新生活に慣れ始めた頃、ふと立ち止まって過去を振り返る瞬間が増える季節でもあります。そんな時、音楽はそっと背中を押してくれる存在です。

今回の「おたいら音楽集」では、青春の葛藤や再生の希望を描いた7曲を選びました。ギターロック、エレクトロ、ポップス、インディーズまでジャンルはさまざまですが、どの曲も「今を生きる」ことに寄り添ってくれる力を持っています。

例えば、人生の意味を探す若者の心情を描いたPURPLE BUBBLEの「ナツメグ」、未来への情熱を疾走感たっぷりに歌い上げるOrangestarの「Surges」、そしてゲームの世界観を借りて現実を戦う勇者像を描いたsumikaの「ふっかつのじゅもん」など、どれも聴き手の心に深く響く楽曲ばかり。

この記事では、各曲の背景や歌詞の一部を引用しながら、音楽が持つ力とその魅力を丁寧に紹介していきます。あなたの心にふわりと届く一曲が、きっと見つかるはずです。

PURPLE BUBBLE「ナツメグ」

PURPLE BUBBLEは、神奈川県日吉を拠点に活動する4人組ポップロックバンド。Gt.Vo.のK-taringを中心に、Gt.せき、Ba.りゅーせー、Dr.嵐丸で構成され、「あなたの憂鬱を吹き飛ばす」をコンセプトに、TikTokやライブハウスを中心に注目を集めています。2025年1月にリリースされたEP『幸せのスパイス』に収録された「ナツメグ」は、彼らの代表曲としてSNSで話題となりました。

「ナツメグ」は、ギターロックを基調にした爽やかで温かみのある楽曲。タイトルの“ナツメグ”は、料理に使われるスパイスの名前で、人生の苦味や喜びを味付けとして捉える象徴的な存在です。疾走感のあるサウンドに乗せて、自己受容や未来への希望を歌い上げています。

歌詞の中で特に印象的だったのは、「自分探すよりも ありのままを愛す方がいい」という一節。この言葉からは、理想の自分を追い求めるよりも、今の自分を受け入れることの大切さが伝わってきます。さらに、「泣いても笑っても 僕はここにいるよ」というフレーズには、どんな感情を抱えていても、自分の存在は揺るがないという力強いメッセージが込められています。

私はこの曲を聴いて、「変わらなきゃ」と焦る気持ちが少し和らぎ、「今の自分でもいいんだ」と思えるようになりました。SNSでは「卒業式の思い出が蘇った」「毎日聴いている」といった声が多く、共感を呼んでいるようです。少し早めの曲調は前に進むのにピッタリです。ウオーキングやなんなら甲子園の行進曲にも合うと思います。

PURPLE BUBBLEの「ナツメグ」は、苦い経験も、甘い記憶も、すべてが自分だけの“スパイス”になることを教えてくれる、優しく力強いギターロックです。

Orangestar「Surges feat. 夏背 & ルワン」

Orangestarは、ボカロPとして活動を始めた音楽クリエイターで、透明感のあるメロディとエモーショナルな歌詞で若者を中心に支持を集めています。活動初期は初音ミクを用いた楽曲制作が中心でしたが、近年は生身のボーカリストとのコラボレーションも増え、より広い層に届く音楽を展開しています。

「Surges」は、2021年に公開されたカロリーメイトのWebムービー「夏がはじまる。」篇の主題歌として書き下ろされた楽曲。夏背とルワンという若手ボーカリストを迎えたこの曲は、青春の葛藤と情熱を疾走感のあるサウンドに乗せて描いています。

歌詞の中で特に印象的だったのは、「踠いていたって何も掴めない光が 僕らには上等!」という一節。この言葉からは、理想に届かないもどかしさを抱えながらも、それすらも肯定して前に進もうとする若者の強さが伝わってきます。さらに、「描いた未来が昨日になるまで 止まらぬ僕たちの熱情が」というフレーズには、時間の流れの中で夢を追い続ける姿が描かれています。

私はこの曲を聴いて、「不完全でも、進むことに意味がある」と感じ、胸が熱くなりました。SNSでは「受験期に聴いて泣いた」「自分の青春そのもの」といった感想が多く、若者の心に深く刺さる楽曲となっています。とりあえず今、何かを始めなければ、もしくは今やってることを精一杯したい!と思う一曲です。

Orangestarの「Surges」は、届かない想いも、燃え続ける心も、すべてが“今”を生きる証として描かれた、青春の熱量を閉じ込めた一曲です。

sumika「ふっかつのじゅもん」

sumikaは、2013年に結成された日本の4人組ロックバンド。Vo./Gt.の片岡健太を中心に、Gt.黒田隼之介、Dr.荒井智之、Key.小川貴之で構成され、ポップで親しみやすいメロディと、日常に寄り添う歌詞で幅広い層から支持を集めています。ライブでは観客との一体感を大切にし、温かくも力強いステージを展開しています。

「ふっかつのじゅもん」は、2014年にリリースされたアルバム『I co Y』に収録された楽曲。RPGの世界観をモチーフにしながら、現実の困難に立ち向かう姿を描いた、sumikaらしいユニークで力強いロックナンバーです。ギターとピアノが絡むアレンジに、片岡のエモーショナルなボーカルが乗り、聴く者の心を鼓舞します。

「錆びた剣振り回していくんだ」という一節。この言葉からは、完璧ではない自分でも、戦い続けることに意味があるというメッセージが伝わってきます。私はこの歌詞を聴いて、「不完全でも前に進む勇気を持ちたい」と感じました。

歌詞全体には、「毒喰らってしまっても堪えて 光差す方 手の鳴る方へ」「満身創痍勇者はそれでも 光差す方 手の鳴る方へ」といったフレーズが並び、傷つきながらも希望を信じて進む主人公の姿が描かれています。SNSでは「自分を奮い立たせてくれる曲」といった感想が多く、共感を呼んでいるようです。

sumikaの「ふっかつのじゅもん」は、人生という冒険の中で、誰もが勇者になれることを教えてくれる一曲。仲間に出会えなくても、錆びた剣しかなくても、信じた光に向かって進む姿が、聴く人の背中をそっと押してくれ乗って

ライブでは定番のこの曲、「ヘイヘイ」の合いの手を全員で言いながらリズムにのって体を揺らすのは最高です。ぜひ聴いてノリノリになってください。

Super超「桃太郎の唄」

Super超は、AI技術を活用して作詞・作曲・グラフィックデザインまでを手がける音楽クリエイター。楽器は弾けず楽譜も読めないながらも、AIと感性を武器にTikTokやYouTubeで楽曲を発表し、独自の世界観を築いています。2025年3月に配信された「桃太郎の唄」は、童話「桃太郎」をテーマにしたオリジナルのロックナンバーで、TikTokで30万PVを超えるヒットとなりました。

この曲は、桃太郎の物語を現代的な視点で再構築し、勇気や葛藤、仲間との絆を描いています。ジャンルは邦ロックに分類され、エレクトロ要素を含んだ疾走感のあるサウンドが特徴です。AIによる音楽生成ながら、感情の揺れや物語性がしっかりと表現されており、聴き手の想像力を刺激します。

SNSでは「童話のイメージが覆された」「笑えるのに泣ける」といった感想が多く、幅広い層に受け入れられています。物語性と現代的な皮肉が融合したスタイルは、Super超の持ち味でもあり、AI音楽の可能性を感じさせる一曲です。

歌詞は確かに桃太郎なんですが、よく昔話に出てくる少年ではなく、下のMVのように青年桃太郎が主人公の両親への感謝や、これから鬼に立ち向かう心意気、オレはやるぜ!という熱い想いがあふれた曲となっています。

Super超の「桃太郎の唄」は、童話を題材にしながらも、現代の若者の心情をリアルに描いたオリジナルロック。遊び心とメッセージ性を兼ね備えた、挑戦的で魅力的な作品です。

BiSH「beautifulさ」

BiSHは、2015年に結成された“楽器を持たないパンクバンド”として知られる女性アイドルグループ。メンバーそれぞれが個性的なキャラクターを持ち、エモーショナルな歌詞と激しいライブパフォーマンスで、アイドルの枠を超えた支持を集めてきました。「beautifulさ」は、2016年にリリースされたアルバム『FAKE METAL JACKET』に収録された楽曲で、BiSHの中でも特にメッセージ性の強い一曲です。

この曲は、苦しみや孤独を抱えながらも、それを乗り越えて生きていく姿勢を描いています。疾走感のあるバンドサウンドに乗せて、リンリンが作詞した言葉が胸に刺さります。ジャンルとしてはエモ・パンクに近く、ライブでも観客の涙を誘う定番曲となっています。

歌詞の中で特に印象的だったのは、「泣いた後に 咲くその花は so beautiful beautifulさ」という一節。この言葉からは、苦しみの先にある希望や再生の美しさが伝わってきます。さらに、「どんなとげとげの道も 僕らは乗り越えていくんだし」というフレーズには、困難を乗り越える力強い意志が込められています。ライブでは人差し指をたてて上に突き上げるのが定番です。

私はこの曲を聴いて、「どんなに辛くても、明日は来る」という言葉に救われるような気持ちになりました。SNSでは「泣きながら聴いた」「自分を肯定できるようになった」といった声が多く、BiSHの楽曲の中でも特に共感を呼ぶ作品です。とにかく元気がでます!

BiSHの「beautifulさ」は、傷ついた心に寄り添いながら、明日への一歩を踏み出す勇気をくれる、切なくも力強いロックナンバーです。

あえて紹介のMVはライブバージョンを紹介しています。これを見て聴いていただき、BiSHがなぜ社会現象になるまで人気になったか感じてもらえると嬉しいです。


Dannie May「アストロビート」

Dannie Mayは、関西を拠点に活動する3人組ボーカルユニット。日常の葛藤や感情の揺れを、鋭くも温かい言葉で描くスタイルが特徴です。2024年にリリースされた「アストロビート」は、青春の迷いや夢への焦がれを描いた楽曲で、インディーズシーンでも注目を集めました。

この曲は、疾走感のあるギターと繊細なメロディが絡み合い、聴く者の心を揺さぶります。ジャンルとしてはオルタナティブ・ロックに分類され、歌詞とサウンドが一体となって、若者のリアルな感情を描き出しています。

歌詞の中で特に印象的だったのは、「いつも言えない sorry sorry だけどほんとは lonely lonely」という一節。この言葉からは、素直になれないもどかしさと、誰かと夢を語り合いたいという切実な願いが伝わってきます。さらに、「きっとまだ僕たちは 長い夢の半ばで 最後笑ってられるように 息切らしてんだ」というフレーズには、夢を追い続ける姿勢と、そこにある苦しみと希望が込められています。メロディーは軽やかなところがまたうまい感じだと思います。

私はこの曲を聴いて、「夢を語ることが怖くても、それでも前に進みたい」という気持ちに共鳴しました。SNSでは「泣けるほどリアル」「自分の青春そのもの」といった感想が多く、Dannie Mayの代表曲として広く支持されています。

Dannie Mayの「アストロビート」は、夢と現実の狭間で揺れる心を描いた、切なくも前向きなロックナンバーです。聴けば聴くほど良くなるスルメ曲だと思います。


きのこ帝国「金木犀の夜」

きのこ帝国は、2007年に結成された日本の4人組ロックバンド。Vo./Gt.の佐藤千亜妃を中心に、シューゲイザーやドリームポップの要素を取り入れた繊細なサウンドで、独自の世界観を築いてきました。「金木犀の夜」は、2018年にリリースされたアルバム『タイム・ラプス』に収録されており、秋の夜にぴったりの感傷的な楽曲です。もちろん今の季節にも。

この曲は、過去の恋や思い出を金木犀の香りに重ねて描いています。静かなギターのアルペジオと、佐藤の柔らかい歌声が、聴く者の記憶を優しく呼び起こします。ジャンルとしてはドリームポップに近く、夜の静けさに寄り添うような雰囲気が魅力です。

歌詞の中で特に印象的だったのは、「だいたい夜はちょっと 感傷的になって 金木犀の香りを辿る」という一節。この言葉からは、ふとした瞬間に過去の記憶が蘇る感覚が伝わってきます。さらに、「きみが好きなアイスみつけて 深夜のコンビニで急に引き戻される」というフレーズには、何気ない日常の中に潜む感情の揺れが描かれています。

私はこの曲を聴いて、「忘れたはずの記憶が、香りや風景で突然よみがえる」ことの切なさに胸を打たれました。SNSでは「秋になると聴きたくなる」「元恋人を思い出して泣いた」といった声が多く、季節の定番曲として愛されています。

きのこ帝国の「金木犀の夜」は、秋の夜にそっと寄り添い、過去の記憶を優しく包み込んでくれる、静かで美しいロックバラードです。

🎼 まとめ|風に揺れる青春と再生のメロディ

今回紹介した7曲には、共通して「変化の季節に寄り添う」力がありました。春から夏へ、そして秋へと移り変わる中で、心の中にも揺らぎや葛藤が生まれます。そんな時、音楽はそっと寄り添い、言葉にならない感情を代弁してくれる存在です。

PURPLE BUBBLEの「ナツメグ」は、人生の苦味も喜びも“スパイス”として受け入れる優しさを。Orangestarの「Surges」は、青春の熱量と未完成な自分を肯定する力を。sumikaの「ふっかつのじゅもん」は、勇者のように困難に立ち向かう姿を描き、BiSHの「beautifulさ」は、涙の先に咲く花の美しさを教えてくれました。

Dannie Mayの「アストロビート」は、夢を語ることの怖さと、それでも前に進む勇気を。きのこ帝国の「金木犀の夜」は、香りと記憶が結びつく秋の感傷を。そしてSuper超の「桃太郎の唄」は、童話を現代的に再構築し、AI音楽の可能性を感じさせる挑戦的な一曲でした。

どの曲も、聴く人の心にふわりと届き、季節の変わり目にそっと寄り添ってくれるような存在です。あなたの心に残る一曲が、きっと見つかったのではないでしょうか。

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