寒さが少しずつ和らぎ、春の気配が遠くに感じられる2月。
この季節は、過ぎ去る冬の余韻と、これから始まる新しい日々への期待が入り混じる、感情のグラデーションが美しい時期です。
そんな2月にぴったりな邦楽ロック・インディーズの楽曲を、今月も前編・後編に分けてご紹介します。
前編では、静かな希望、恋の余韻、青春のきらめき、そして再会への願いをテーマに、6曲をセレクトしました。
今回取り上げるのは以下の楽曲です:
- 「アトラクトライト feat.ゆある」 / Luna
- 「2人だけの幸せ」 / Mickey
- 「幾億光年」 / Omoinotake
- 「ロリポップサイダー」 / RIRIKO
- 「僕らの世界」 / RIRIKO
- 「僕らまた」 / SG
それぞれの楽曲が持つ物語性、アーティストの背景、そして私自身が感じたことを丁寧に綴っています。
冬の終わりに、心をそっと温めてくれる音楽たちを、ぜひじっくり味わってみてください。
アトラクトライト feat.ゆある / Luna
Lunaは、透明感のある歌声と繊細なトラックメイクで注目される新世代のボカロP/シンガーソングライター。
「アトラクトライト」は、人気歌い手・ゆあるをフィーチャーしたコラボ楽曲で、2024年末にリリースされて以来、YouTubeやSNSでじわじわと再生数を伸ばしています。
この曲を聴いたとき、まず惹かれたのは光と影が交錯するようなサウンドの美しさ。ピアノとエレクトロの融合が、まるで夜明け前の静けさと希望を描いているようで、聴いているだけで心が浄化されるような感覚になります。
ゆあるの歌声は、Lunaの繊細なトラックにぴったりと寄り添い、感情の揺らぎを丁寧に表現してくれます。
歌詞には「惹かれ合う光」というテーマが込められていて、誰かに出会うことで自分の世界が変わっていく瞬間が描かれているように感じました。
この曲は、冬の終わりに聴くと特に染みる一曲。
寒さの中に差し込む光のような、静かな希望を感じさせてくれる音楽です。
2人だけの幸せ / Mickey
Mickeyは、TikTokやYouTubeを中心に活動するシンガーソングライターで、日常の感情をリアルに切り取る歌詞が若者を中心に支持されています。
「2人だけの幸せ」は、2024年に配信されたラブソングで、恋人との何気ない時間を大切にする気持ちが詰まった作品です。
この曲を聴いたとき、まず感じたのは**“特別じゃない幸せ”の尊さ**。
派手な演出やドラマチックな展開ではなく、日常の中にある小さな幸せを丁寧に描いていて、聴いていると自然と笑顔になれるような温かさがあります。
Mickeyの歌声は、柔らかくて親しみやすく、まるで友達がそっと話しかけてくれているような距離感。
「2人だけの幸せ」というタイトル通り、誰かと過ごす時間の中でしか生まれない感情が、音の隅々にまで込められているように感じました。歌詞にもありますが、この地球上の何億もの異性がいる世界で、二人が交わる可能性はほんのわずかです。その奇跡を感謝しながら、相手がいない世界なら何か物足りないと感じる、いえ、そう感じることこそが大切な幸せの一つだと思います。皆さんにもそんな出会いがありますように。
この曲は、恋人との時間を思い出したいときや、誰かを大切にしたいと思ったときに聴きたい一曲です。
幾億光年 / Omoinotake
Omoinotakeは、島根県出身の3人組ピアノトリオバンド。
ソウルやR&Bの要素を取り入れた洗練されたサウンドと、感情をまっすぐに届ける歌詞で、近年急速に注目を集めています。
「幾億光年」は、2023年にリリースされた楽曲で、壮大なタイトル通り、時間と距離を超えて誰かを想う気持ちが描かれています。
イントロのピアノが静かに始まり、徐々に広がっていくサウンドは、まるで宇宙の中を漂っているような浮遊感があり、聴いていると心が遠くへ連れていかれるような気持ちになります。
ボーカル・藤井の歌声は、力強さと繊細さを併せ持ち、遠く離れた誰かへの想いを真っ直ぐに届けてくれる。
この曲は、離れていても繋がっていると信じたいときに聴きたい、そんな一曲です。
ロリポップサイダー / RIRIKO
RIRIKOは、2017年にメジャーデビューした新進気鋭の女性シンガー。
ポップでキュートな世界観と、芯のある歌声で、若い世代を中心に人気を集めています。
「ロリポップサイダー」は、2020年にリリースされた楽曲で、タイトル通り弾けるような甘酸っぱさが詰まったポップソング。
イントロから軽快なリズムとシンセが広がり、まるで炭酸が弾けるような爽快感があります。
RIRIKOの歌声は、可愛らしさの中にしっかりとした芯があり、ただの“かわいい”では終わらない強さを感じさせてくれます。
歌詞には、恋の始まりのドキドキや、ちょっとしたすれ違いが描かれていて、聴いていると青春時代の記憶がふと蘇ってきました。
この曲は、気分を上げたいときや、ちょっと元気が欲しい時にぴったりの一曲です。
現在はNELKE(ネルケ)として活動をしています。名曲ぞろいで私の大好きなアーティストの一人です。引き続き応援していきたいと思います。
僕らの世界 / RIRIKO
「僕らの世界」は、RIRIKOの2020年7月に配信リリースされた楽曲で、3ヶ月連続配信企画のラストを飾る一曲。 前作「ロリポップサイダー」の甘酸っぱさとは対照的に、夢を叶えた“その先”の景色を描いた、力強く前向きなポップソングです。
RIRIKO自身のブログでは、この曲を「叶えられた側の物語」と表現しており、 過去の葛藤や迷いを乗り越えた先に見える景色の美しさ、そして前を向く勇気が込められています。
作詞・作曲・編曲すべてをRIRIKO自身が手がけており、 疾走感のあるサウンドとエネルギッシュなボーカルが、聴く人の心を奮い立たせてくれます。
この曲は、何かを乗り越えた人、あるいは今まさに挑戦している人に寄り添う、 “自分の世界を信じて進む”ための応援歌です。3か月連続配信の最終曲というだけではなく、今までのRIRIKOの活動の集大成のような構成で、それまでの歴史を知っているとさらに心に響きます。
現在はバンド「NELKE」としても活動中。RIRIKOの音楽は、これからも多くの人の背中を押し続けてくれるでしょう。
僕らまた / SG
SG(エスジー)は、韓国出身のシンガーソングライターで、日本語・韓国語・英語を自在に操るマルチリンガルアーティスト。
2020年代に入り、TikTokやYouTubeで急速に人気を集め、グローバルな感性と繊細な歌詞表現で注目されています。
「僕らまた」は、2024年にリリースされた楽曲で、別れと再会をテーマにした切ないラブソング。
イントロのアコースティックギターが優しく響き、SGの柔らかくも深みのある歌声が、聴く者の心に静かに染み渡ります。
この曲を聴いていると、「また会えるかもしれない」という希望と、「もう戻れないかもしれない」という不安が交錯していて、恋愛の儚さと美しさが丁寧に描かれていると感じました。
SGは、感情を言葉にするのがとても上手なアーティストで、聴いていると自分の気持ちを代弁してくれているような安心感があります。
春の始まりに、過去を振り返りながら未来に向かいたいときに聴きたい一曲です。
🌸 まとめ|音楽がくれる、季節の節目の物語
今回紹介した6曲は、どれも冬の終わりにふさわしい、静かで深い感情を描いた作品ばかりでした。
Lunaとゆあるの繊細なコラボレーション、Mickeyの優しい日常描写、Omoinotakeの壮大な想い、RIRIKOの二面性ある表現、そしてSGのグローバルな感性——それぞれが異なる角度から、私たちの心に語りかけてくれます。
音楽は、季節の記憶と結びつき、ふとした瞬間にその時の感情を呼び起こしてくれるもの。
この6曲が、あなたの2月の記憶に寄り添い、新しい季節への一歩を踏み出す勇気や優しさをくれる存在になれば嬉しいです。
後編では、より春に近づいた感情を描く楽曲を紹介予定です。
ぜひそちらもお楽しみに。

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