2025年2月おたいら音楽集|冬の終わりに染みる5曲(後編)

毎月心に残ったおすすめ曲をジャンル問わず紹介する「おたいら音楽集」のアイキャッチ画像です 音楽

2月も後半に差し掛かり、空気の冷たさの中に、ほんの少しだけ春の匂いが混じるようになってきました。
この季節は、過ぎ去る時間への名残惜しさと、新しい季節への期待が交差する、感情が最も繊細になる時期かもしれません。

そんな2月の終わりにぴったりな楽曲を、今月の後編では5曲ご紹介します。
今回の選曲では、別れと再会、強さと弱さ、そして生きることそのものをテーマに、心に深く響く作品を集めました。

紹介する楽曲はこちら:

  • 「八月の夜」 / Silent Siren
  • 「おかえり」 / Tani Yuuki
  • 「裸の勇者」 / Vaundy
  • 「おとせサンダー」 / ぼっちぼろまる
  • 「つよがるガール」 feat. もっさ(ネクライトーキー) / ぼっちぼろまる

それぞれの楽曲が持つ物語性、アーティストの背景、そして私自身が感じたことを丁寧に綴っています。
冬の終わりに、心の奥にそっと触れてくれる音楽たちを、ぜひじっくり味わってみてください。

八月の夜 / Silent Siren

Silent Sirenは、元読者モデルのメンバーで構成されたガールズバンドとして2012年にメジャーデビュー。
ポップでキラキラしたサウンドと、どこか切ない歌詞が特徴で、青春時代の記憶に寄り添うような楽曲を多く生み出してきました。

「八月の夜」は、2014年にリリースされた楽曲で、夏の終わりの切なさと、過ぎ去った時間への想いが詰まった一曲。
イントロのギターが鳴った瞬間から、懐かしい風景が頭に浮かび、まるで過去の自分に手紙を書くような気持ちになります。

ボーカル・すぅの声は、透明感がありながらも感情の揺らぎをしっかりと伝えてくれて、“あの頃”を思い出すきっかけになるような力を持っています。
歌詞には、夏の夜に交わした言葉や、もう戻れない時間への愛しさが込められていて、聴いていると胸がぎゅっと締め付けられます。

この曲は、冬の終わりに聴いても、季節の移ろいとともに過去を振り返る時間をくれるような、優しくて切ない一曲です。


おかえり / Tani Yuuki

Tani Yuukiは、TikTokをきっかけにブレイクしたシンガーソングライター。
「W/X/Y」で一躍注目を集め、日常の感情を丁寧にすくい上げる歌詞と、優しい歌声で多くのリスナーの心を掴んでいます。

「おかえり」は、2023年にリリースされた楽曲で、帰る場所の温かさと、誰かを待つ気持ちが描かれた作品。
Tani Yuukiの柔らかい声が乗ると、まるで自分が誰かに「おかえり」と言われているような気持ちになります。ケルト音楽風のメロディーも何か懐かしさを感じます。北海道のシチューのCMが似合いそうな雰囲気。

この曲を聴いていると、忙しい日々の中で忘れかけていた「帰る場所」の存在を思い出します。
歌詞には、何気ない日常の中にある愛情や、言葉にしなくても伝わる想いが込められていて、聴く人の心をそっと包み込んでくれるような優しさがあります。

冬の終わりに、誰かと過ごす時間の尊さを改めて感じたいときに聴きたい一曲です。


裸の勇者 / Vaundy

Vaundyは、作詞・作曲・編曲・映像制作までを一人でこなすマルチクリエイター。
ジャンルを超えた音楽性と、鋭い感性で描かれる歌詞が特徴で、2020年代を代表するアーティストの一人です。

「裸の勇者」は、TVアニメ『王様ランキング』のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。
タイトル通り、鎧を脱ぎ捨てた“ありのままの自分”で立ち向かう勇気が描かれていて、聴いていると自然と背中を押されるような気持ちになります。アニメもシンプルな絵柄でストーリーも比較的分かりやすいですが、その分各キャラクターが生き生きと動き、それぞれの感情がダイレクトに伝わってきます。主人公の王子が頑張る姿、周りの人たちの優しさ、支えあうシーンに何度も涙しました。→王様ランキング

サウンドは、シンプルながらも力強く、Vaundyの歌声が感情の芯を突いてくるような迫力があります。
歌詞には、「弱さを抱えたままでも前に進める」というメッセージが込められていて、完璧じゃなくてもいいという安心感を与えてくれます。

この曲は、冬の終わりに、新しい季節に向かって一歩踏み出したいときに聴きたい一曲です。


おとせサンダー / ぼっちぼろまる

ぼっちぼろまるは、ボカロPとして活動を始め、現在は自身の歌唱でも注目を集めるアーティスト。
ユニークな世界観と、中毒性のあるメロディラインで、ネットカルチャーを中心に人気を拡大しています。

「おとせサンダー」は、2023年にリリースされた楽曲で、衝動とエネルギーが炸裂するようなエレクトロロック
イントロからテンションMAXで、まるで雷が落ちる瞬間のような衝撃があります。

歌詞には、抑えきれない感情や、爆発寸前の衝動が描かれていて、聴いていると自然と体が動き出すような感覚になります。
ぼっちぼろまるの歌声は、エフェクトを駆使しながらも、感情の芯をしっかりと伝えてくれるのが魅力です。

この曲は、冬の終わりに、気分を一気に切り替えたいときに聴きたい一曲です。


つよがるガール feat. もっさ(ネクライトーキー) / ぼっちぼろまる

2024年夏、TVアニメ『負けヒロインが多すぎる!』のオープニングテーマとしてリリースされた「つよがるガール」は、ぼっちぼろまるとネクライトーキーのもっさによる異色のコラボ楽曲。ボカロPとしてキャリアをスタートさせたぼっちぼろまるは、今や自身の歌唱でも注目を集めるアーティスト。ネットカルチャーを背景に、ユニークな世界観と中毒性のあるメロディでファンを魅了し続けています。

この楽曲は、まさに“負けヒロイン”たちへの応援歌。疾走感あふれるスカロックサウンドに乗せて、「何度も負けてやれ! 涙そのたび強くなる」という歌詞が胸に刺さります。もっさのエモーショナルな歌声とぼっちぼろまるの遊び心あるボーカルが絶妙に絡み合い、聴いているだけで青春の悔しさと希望が交差するような感覚に包まれます。

ネットでは「ぐるぐる回る頭の中の描写がリアルすぎて泣ける」「負け続けても前を向く姿に勇気をもらえる」といった声が多く、「これはまるで自分の物語みたい…」と感じる人もいました。特に「つよがるガールは最強!」というフレーズには、何度も立ち上がる強さと、報われない日々へのささやかな反抗心が込められていて、聴くたびに背中を押されます。

「おとせサンダー」の衝動的なエネルギーとはまた違い、「つよがるガール」は悔しさを抱えながらも前に進む“等身大のヒロイン”たちの姿を描いた、じわじわと心に染みる一曲。青春のスピンオフじゃない、私たちが主役の物語を歌ってくれる、そんな楽曲です。

🌸 まとめ|季節の終わりに、音楽がくれるもの

今回紹介した5曲は、どれも冬の終わりにふさわしい、感情の揺らぎや再生の兆しを描いた作品ばかりでした。
Silent Sirenの「八月の夜」は、過ぎ去った時間への愛しさを。Tani Yuukiの「おかえり」は、帰る場所の温もりを。Vaundyの「裸の勇者」は、ありのままの自分で進む勇気を。ぼっちぼろまるの2曲は、衝動と繊細さという相反する感情を見事に描き出してくれました。

音楽は、言葉にできない感情を代弁し、自分自身と向き合う時間を与えてくれる存在です。
この6曲が、あなたの2月の終わりにそっと寄り添い、春への一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

次回は、春の訪れを感じる3月の楽曲をお届けします。どうぞお楽しみに。


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