2026年01月おたいら音楽集|冬の散歩道で見つけた、心ときめく音たち(その1)

2026年のおすすめ邦楽のアイキャッチ。四季を色とりどりの音楽で満たしていきたいと思います 音楽

はじめに

1月の空はどこか凛としていて、歩くたびに頬をかすめる風が「新しい季節が始まったよ」とそっと告げてくれるようです。冬の散歩道は静かで、けれど不思議と気持ちは前に進んでいく。白い息の向こう側に、これからの毎日がゆっくりと形をつくっていく気配が漂っています。

新年という真っさらなページを前にすると、期待や少しの不安が混ざり合い、心の温度がふっとゆらぐ瞬間があります。その揺れをそっと受け止めてくれるのが、やっぱり音楽です。気持ちを切り替えるときにも、ふと過去を思い返すときにも、音は私たちのすぐそばで寄り添いながら、背中を軽く押してくれます。

今回の「2026年01月おたいら音楽集|冬の散歩道で見つけた、心ときめく音たち(その1)」では、そんな“冬の静けさに灯るあたたかさ”を感じられるような曲たちを選びました。それぞれまったく違う表情を持ちながら、どの曲もそっと心に触れる何かを運んできてくれます。

音楽に詳しいかどうかなんて関係なく、読んでくださる方の心のどこかに「ちょっと良いな」と思える一曲が見つかれば、とても嬉しく思います。

それでは、冬の景色の中で揺れる音の物語を、ゆっくりとたどっていきましょう。


草縁 / harha

harhaの「草縁(そうえん)」は、ユニット結成前夜に制作されたデモの中から選ばれた、harhaにとって“はじまり”を象徴する一曲です。クリエイターのハルハとシンガーのヨナベによる2人組ユニットで、初のEP『未来再来』に収録されています。作詞・作曲はハルハ、編曲には堀江晶太(kemu)が参加し、さらにURARAが手がけたアニメーションMVは「二人の冒険譚」をテーマに制作されました。

歌詞の冒頭にある「君と北極星を目指す」というフレーズは、この曲が描く旅の始まりを端的に示しており、未来へ向かう2人の姿を印象的に導いています。歌の中では、不安や曖昧さも抱えながら、それでも前へ進もうとする歩みが描かれ、ユニットとしての原点が丁寧に刻まれています。

インタビューでは、この楽曲がharhaの“軸”となる存在であり、出会いから歩み始めた2人の姿勢を見つめ直すきっかけになったことも語られています。ヨナベが「この<君>は自分だと思って歌っている」と明かす場面も印象的で、歌詞と実際の関係性が自然に重なることが、この曲の強い物語性につながっていると感じました。

アニメーションMVとともに触れると、より深く曲の世界に浸れる一曲です。2026年のスタートを切るのにピッタリな曲です。今年も元気にいきましょう!


ブルーエゴイスト / REI-BAND

REI-BANDの「ブルーエゴイスト」は、高橋霊によるAI音楽ユニットが発表した26thシングルです。高橋幸子が近所の仲間と結成したユニットとして紹介されており、YouTubeでは情熱的なスパニッシュサウンド風ロックとして公開されています。ギターを軸にしたアレンジで、テンポ良く進む構成が印象的な楽曲です。

TikTokでは“切ない曲”というタグとともに投稿されており、実際のコメントでも曲の世界観に強く共感する声が見られます。私自身も、言葉が次々と重なって胸に飛び込んでくるようなボーカルの表現に惹かれ、自我をテーマにしたタイトルが自然に楽曲の雰囲気と結びついていく印象を受けています。

REI-BANDはAI技術を取り入れた制作スタイルでも注目されており、個人発ユニットとは思えない独自性の強さが特徴です。「ブルーエゴイスト」もその姿勢がよく表れていて、音と言葉のぶつかり合いがそのまま楽曲の熱量になっているように感じます。

聴くほどに青い“エゴ”の灯りが心の中に描かれるような一曲です。少し昭和の香りも漂う疾走感あふれる世界を感じてください。


君へのカルタ / iCO

iCOの「君へのカルタ」は、2025年10月8日にデジタルリリースされた12thシングルで、未来をテーマに“君に寄り添う手紙のような楽曲”として発表された作品です。ボーカルの吉國唯が作詞作曲を手がけ、アレンジはドラマーのヒロチカが担当しています。言葉の選び方がとても丁寧で、一つひとつが“誰かに宛てた手紙”のように届いてくるのが印象的です。

この曲は、アキュラホームの公式キャラクター「あきゅりん」が登場する新アニメCMの主題歌として書き下ろされた背景もあり、柔らかく寄り添う雰囲気が全体に流れています。歌詞では春夏秋冬の情景が織り込まれ、季節が変わっても変わらず“君”を想い続ける気持ちがまっすぐに描かれています。冒頭の言葉選びからすでに、誰かの涙にそっと触れるような温度があり、曲が進むごとにその優しさが深まっていくように感じます。

iCOは吉國唯(Vo/Gt)とヒロチカ(Dr)によるユニットで、透明感のある歌声と繊細なサウンドが魅力です。「君へのカルタ」は、その特徴がもっとも素直に表れた曲のひとつだと思います。ひとつの手紙を読み進めるように心が動き、聴き終わる頃には少しあたたかい気持ちが残る曲です。この声しかない私が君に歌いたい、歌うことで守ってあげたい、そんな歌詞や歌い方が心に響きます。ちょっと気分が落ちた時に聴いて、少しでも前向きな気分になってもらえると嬉しいです。


memories ~17years after~ / 大槻マキ

大槻マキの「memories ~17years after~」は、2016年リリースのアルバム『Destiny』に収録されている楽曲です。作詞は大槻真希、作曲は森純太が手がけていて、彼女の代表曲「memories」を17年ぶりに新たな視点から描き直した“アフターソング”として制作されたのが特徴です。

歌詞では「小さな頃には宝の地図が 頭の中に浮かんでいて」といった原曲のフレーズを受け継ぎながら、大人になった自分が“あの頃の私”へそっと語りかけるような内容になっています。成長とともに変わってしまったもの、失ってしまった純粋さ、夢の輪郭がぼやけていく切なさが丁寧に描かれています。特に「もしも世界が変わるのなら 何も知らない頃の私に連れていって」という一節には、過ぎていく時間への想いが静かに込められているように感じます。

「memories」はアニメ『ONE PIECE』のエンディングとして広く知られていますが、この“17years after”版は、あの頃から時間を重ねた人ほど深く響く曲です。原曲の温かさをそのままに、より成熟した視線で未来と過去をつなげているのが魅力です。私自身も、聴きながら当時の気持ちを少し思い出すような、ノスタルジックで優しい余韻が残る一曲だと思います。あれ?なんだか以前聞いたことがある曲だったな、何だったかな、と思った人は、再度メロディーや歌詞を噛みしめながら、あの頃の感情や気持ちを思い出してこれからの活力にしてもらえたらと思います。


ロックンロールに恋をしたんだ! / らそんぶる

「ロックンロールに恋をしたんだ!」は、らそんぶるが2024年7月19日に発表した初のデジタルシングルです。東京・市ヶ谷で結成された平均年齢20.5歳の4人組ガールズバンドで、ボーカル兼ギターのそらが作詞作曲を担当し、バンドメンバーと編曲家が共同で楽曲を仕上げています。

この曲は、満員電車や一限の授業、スタジオに行く日々の風景など、リアルな大学生活がそのまま歌詞に描かれています。スタジオで聞こえる爆音に胸が高鳴った瞬間や、うまくいかない日々のストレス、家族との喧嘩など、若い世代が直面しがちな感情が飾らずに表現されています。そこに「私には歌がある」「ロックンロールに恋をしたんだ」という強いフレーズが重なり、音楽に救われていく自分自身の姿が鮮明に伝わります。

らそんぶるは、SNSのリール動画が大きく話題になったことでも知られていて、飾らない等身大の歌詞とキャッチーなメロディが特徴です。この曲でも、その“まっすぐさ”がしっかりと表れていて、聴き終わるころには自然とバンドの熱量に引き込まれていきます。

私自身も、「ロックンロールに恋をしたんだ」という言葉に、初めて音楽に心を掴まれた瞬間を思い出すような感覚がありました。日常のざらっとした痛みと、音楽に出会う喜びが一緒に流れてくるような、まっすぐ胸に届く一曲です。曲は普通にロックで歌詞も激しめなんですが、どこかユルいところも感じられて、そんな良い感じの雰囲気が耳にすっと入り込んでくる、不思議な曲だと思います。


beginning of the story / アマリモノ

アマリモノの「beginning of the story」は、1st EP『開幕撃』に収録された楽曲で、2025年8月30日に配信リリースされた作品です。作詞はあおみ、作曲はアマリモノが担当していて、レコーディングはStudio246で行われています。EP自体はロックやパンクとして分類されており、その中の1曲として位置づけられています。

歌詞は「変わり映えしない日々に 足りないものは何?」という問いかけから始まり、「俯くその先何になる?」と自分に向けた言葉が続いていきます。そのうえで「さあ始めよう It’s the beginning of the story」と宣言するフレーズが登場し、立ち止まりながらも物語を始めようとする姿勢が描かれているのが特徴です。言葉の一つひとつが、日常の迷いと前へ進む意志の両方をそのまま映しているように感じます。

アマリモノは、大阪を拠点に活動するスリーピースバンドで、まいは(Ba/Vo)、あおみ(Gt/Cho)、たいよう(Dr/Cho)の3人編成です。作詞を担当したあおみはSNSで「自分の中にある想いを込めて書いた」と投稿しており、この曲がバンドにとっても大切な位置づけであることが伝わってきます。

「beginning of the story」というタイトル通り、ここから何かが始まっていくような流れを感じられる一曲です。今の自分たちが伝えたい、これが私たちの今だ、という想いを感じられる曲だと思います。今年はこの勢いのまま、走っていって欲しいと思っています。


桜が咲く頃に / Re:Yet

Re:Yetの「桜が咲く頃に」は、YouTubeや主要ストリーミングサービスで公開されている楽曲で、Re:Yetのプロジェクト説明では“かつて王道J-POPを奏でていた男性4人組バンドの楽曲をAIでリメイクし、AI女性ボーカルAYAが歌う”というコンセプトが示されています。YouTubeの概要欄でも、当時のバンドが作った曲を現在のAIボーカルによって歌い直した作品であることが紹介されています。

TikTokでは「春ソング」「J-POP」「ウェディングソング」などのハッシュタグが付けられて投稿されていて、視聴者が春や出会いと別れの季節に重ねて聴いている様子が見られます。また、「エモい曲」といったタグも使われており、SNS上では物語性のある春の楽曲として受け取られていることがわかります。私自身もこれらの投稿を見て、春の情景とともに聴かれる曲として広まっている印象を受けました。

Re:Yetは、過去のバンド曲をAI技術で現代的に再構築するという独自のスタイルで活動していて、「桜が咲く頃に」もそのコンセプトに沿って制作された一曲です。AIボーカルAYAが歌うことで、過去の楽曲に新しい質感を与えながら、当時のメロディーを今のかたちで届けるプロジェクトになっています。 と、ここまで情報を仕入れて、私もその通りなのかと思っていましたが、今までにこんな曲は無いようです。当時の男性4人組バンドって誰の事?この曲は新曲ですね。すっかり騙されました、嬉しいです。そんなわけで、今年はAI作曲の黎明期だと思っています。年末までにいったい何曲紹介してしまうのでしょうか。今から楽しみです。


まとめ

1月という季節は、静けさの中に小さな光が差し込むような、不思議な余白を与えてくれます。今回紹介した曲たちは、その余白にそっと寄り添い、歩く速度や呼吸のリズムに自然と溶け込んでいくような音ばかりでした。冬の散歩道で感じるひんやりとした空気、その向こうにあるかすかな温もり――そんな情景のひとつひとつが、音によって少し違う表情を帯びて見えてきたのではないでしょうか。

音楽は、ただ聴くだけのものではなく、今の自分の感情や記憶に寄り添い、そっと色を足してくれる存在です。振り返れば、心に触れた瞬間はとても静かで、でも確かにそこに残っている。そんな体験を、この1月にもひとつでも見つけてもらえていたら嬉しく思います。

新しい年の歩みの途中で、また素敵な一曲と出会えますように。あなたの日々をふっとやわらかくする音が、これからもそばにありますように。

それでは、次回もどうぞお楽しみに。


関連リンク

harha
REI-BAND
iCO|iCO オフィシャル FANCLUB “ちゃんズ”
Maki Otsuki official web site
らそんぶる official
アマリモノ
Re:Yet

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